娘の母校の校章をリ・デザイン

三鷹市立第四中学校の校章をリ・デザインしました。

学校だより」にも正式に発表されていました。

今回はそれが「できるまで」みたいなものをまとめてみました。
(長いけど最後まで読んでね)

ロゴマニュアル
ま、今回は非常に稀というか、特殊なご相談で、
一からのデザインではなく、現行の校章をリメイクするような内容でした。

いずれにしても、娘が卒業した中学校のシンボルマークに関わることができ、
心からこの仕事をやっててよかったなと思いました。

こんな重大な案件にお声がけいただいた校長先生にとても感謝しています。

経緯としましては、

「既存の校章のデザインを拡大してみると何かおかしいのですが、ちょっと見に来てもらえますか」

という不思議なご連絡から始まりました。

 

 

「はい、いいですよー」なんて軽い感じで学校へ打ち合わせに行きました。

校長先生直々に迎え入れていただき、沈みすぎるソファーに座らせていただきました。

で、早速、額装されて壁にかかったマークの図案を拝見すると、、

「ん?」

mark01

確かにデザインはされているけど、、なんか、、オブジェクトの処理が雑、、ていうか、きちんと設計された雰囲気ではない。

拡大したらこんな感じ。なんかカクカクしてる。

kakudai

フリーハンドで落書きしたものをパソコンの機能でオートトレースしたような偶然できたパスで形成されたものにしか見えない。。
(そういや昔、ストリームラインってソフトあったな。)

その旨を先生に伝え、これはオリジナルデータの出力ではないと説明させていただいたところ、そうなってしまったきっかけが過去にあり、なるほどと思いました。

そのきっかけというのが火事。
学校ウェブサイトの沿革にもありますが昭和41年(1966 年)と昭和45年(1970年)の2回、火災という記録があります。

詳細は分かりませんが、41年の火災の時に焼失した可能性があるとのこと。
学校に現存する最も古いアルバムのようなものを見せてもらいましたがその年号が1967年でした。もちろんそのアルバムにも校章が刻まれています。

それがこちら。

mark04

表紙にゴールドの箔押しが施されているのですが、経年劣化でひび割れ、細部まで確認できるものではありませんでした。

他にも、10周年記念誌とされる冊子は手描きのマークだったり、現行の校旗も拝見しましたが、一つとして同じマークがない上にどれもきちんと設計されたものではない。。。

mark03

校旗
mark02

娘が3年もお世話になりながら、全く気がついていませんでした。。

校長先生曰く、せっかくなのでこの機会に美しくデザインし直したいと。
確かに僕もその方がいいと思いましたので、喜んで引き受けることとなりました。

で、どうしていくかということなんですが、

基本は現行のロゴデータをベースにブラッシュアップする方向がいいということで、その点は僕も賛成です。そこで、リメイクするにあたり現状の問題点を整理とデザインルールを設けました。

(問題点の整理)
現存する校章全てにおいて同じものがなく、媒体ごとに微妙にデザインが違っている。

→シンボルマークとしての判断基準がなく、今後も統一感が計られない可能性が大きい。それに伴い、ブランド力の低下、自校への誇りやモチベーションが薄まる。

(リデザインにおけるレギュレーション)
1.視覚的印象を変えない(全体として)
2.モチーフは4枚の羽(鳥)
3.真ん中に「中」の文字
4.モノクロ表現での高い視認性を確保

→言われなくては気がつかない程のマイナーチェンジの中に、ブランド力アップにつながるデザイン性とメッセージを付加する

ということを目指しました。

これは、はじめに描いた手書きのラフスケッチです。

ロゴマニュアル

4枚の羽と中の文字、校章らしくしっかりとしたラインで構成しています。
基本的に羽部分はシンメトリーとし、どっしりとした重厚感(高級感)をもたせたかったので現状より少し太くしようと思いました。

で、パソコンで仕上げた初校がこちら。

アレンジしつつ、バリエーションを作ってみました。

ロゴマニュアル

こちらはちょっとアレンジ。わかりにくいですが、トップの形が鳥の顔になっています。より躍動感をプラスしたイメージです。ロゴマニュアル

さらに重厚感を出すために、陰影を入れてみましたが、これはちょっとやりすぎか、、、ロゴマニュアル

この時点では上記の「進化パターン」が意味合いも付加されていていいかなということで、これをベースにさらに調整しました。

で、こちらが再校。

初校はちょっと重厚感にこだわりすぎて「コク」が強すぎるということで線を少し細くし、全体的にすっきりとさせました。
ロゴマニュアル

先生から小さく使うことが多いということを伺っていたので、縮小しても潰れないということと、視認性の確保に注意しました。ですので、中の「中」の文字も、袋文字からスミ文字に変更。ロゴマニュアル白抜き反転させてももちろんイメージは変わりません。

(最近多いけど、グラデーションを使ったロゴとかって未来っぽくてかっこいいけど、モノクロ表現や反転がしにくかったり、視認性も確保できないので個人的にあまり好きではありません。)ロゴマニュアル大きなアレンジポイントとしては重厚感の中にも「躍動感」とか「飛躍」という意味合いを強めるために、「中」の文字の3つの頭を全て右肩上がりにしました。これにより印象も少しスタイリッシュでシャープになったかと思います。

ただ、トップの鳥の頭は、学校のシンボルということで未来感のある「鳥の羽ばたき」をより強調したかったのですが、最終的にはそこまでになると現状から大きく変えることになってしまうとのことで、初校の基本パターンにあったように丸い形状に戻して完成となりました。

ということで最終的に完成したのがコレというわけです。

ロゴマニュアル

多分、このロゴに差し替えてもほとんどの人が違和感なく受け入れて頂けるんではないでしょうか。下手したら誰も気がつかないかも笑

それでいいんです。

それが大事。大事MANブラザーズバンド。

で、データを納品して終わり!

、、、ではなくてですね

今後このシンボルマークを誰が使ってもきちんと表現してもらえるように、レギュレーションをまとめます。

ルールブックですね。
これがないと、またバラバラの見え方になってしまいます。

予算や(もちろん別料金なので)そのマークの重要性にもよるんですが、できるだけあったほうがいいです。

ロゴマニュアル

デザインってホントこういう誰も気がつかないような細かいところや、目に見えないところに一番労力がかかってるんですよと。パッとできるわけではないんですよっと。

クリエイターの水面下の努力を知っていただき、価値を感じていただけたら幸いです。

というわけで今回のシンボルマークのリメイク。100年、200年先まで残る可能性のあるデザインに関わることができてクリエイター冥利につきる、そんな心境です。

のちに校長先生が調べてくださった過去の情報によりますと、さきに出てきた記念誌の手描きマークはオリジナルかどうかは定かではないが、当時美術家としていらっしゃった先生が決めたものらしく、やはり想像した通り「鷹が羽を広げた姿」を表現していたようです。

そんなシンボルマークを時代を超えてまた私がリ・デザインしたということに胸が熱くなりました。

鷹が羽ばたくその先に、子どもたちの素晴らしい未来が広がっていることを願っています。

ロゴマニュアル
 
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ABOUTこの記事をかいた人

イラストレーターナド。
ふるさとプロデューサー、三鷹商工会員、三鷹市観光企画委員、イラストレーターズ通信会員。クリエイティブ業界で18年目。嫁1人、娘1人。関西弁。